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日本に学ぶ食の知恵「山を育て、野を耕し、海で貯える」 vol.07 限界集落 その5

平井さんの真妻山葵
和歌山県日高郡印南町にある真妻地区。
この「まづま」という名前を聞いて、すぐに山葵(ワサビ)を思い出せる方は相当な食通です。しかしながら我々プロとしては当然知っておかねばならなりません。
山葵を調べようとWikipediaを見てみると、このサイトが奥深くまで本当の物事を伝えるものではないということを知ることができます。言い換えると、それほど大切なことを知られていないのが、山葵、それも真妻山葵と言えるのです。

食用として出てくる山葵には、栽培が容易で静岡県を中心とした大規模農場で生産される「実生山葵」と、成長が遅くて栽培が難しい「真妻山葵」の2種類があります。実生と真妻の見た目による差は、茎の部分が紫色をしているほうが真妻で、緑色だけのものが実生。素人でもはっきりわかります。
商売として利益追求する現代社会となれば生産効率の高い「実生」(みしょう)を生産する農家が増え、利益の薄い「真妻」を手掛けるところは減る一方とならざるを得ません。
また、栽培方法も格差があります。畑の基盤に石を敷いてから砂を入れる「畳石式栽培方法」と、自然な沢を利用した「渓流式栽培方法」が代表的。畳石式は根が組まれた石たちの隙間に入るため、急な増水によって山葵が流されることを防ぐことが出来、安定的に生産することが望めます。もう一つの渓流式は砂の中だけで育つために、豪雨で押し流されやすくなり、決して利益追求に適した栽培方法とは言えません。
新茶の沢渡地区
さて、冒頭の地域は日本でも有数の「千両」の栽培地。千両は冬に赤い実をつけるため、お正月の縁起物としてその名前とともに珍重されています。この千両畑に押し込まれたように山の奥で真妻山葵を作っているご家族がいらっしゃいます。
平井満、江美さんご夫妻と息子さんの平井健さんが、そのご家族。
「もう120年も真妻一本です」と力強く語ってくれるお父さんに、しっかりとした目で「これからは地域を豊かにする山葵作りを」と言葉を添える息子さん。
この方々たちが手掛けるのは、「渓流式栽培方法」による「真妻山葵」です。つまり、「作り辛い」を、わざわざ重ねあわせてつくっているのです。
何故、そこまでそれらにこだわるのかという質問に対し、即座に答えてくれました。
「そりゃ、美味いから」だと。


そこまでして受け継がなければならない「日本の味」とはどのようなものなのか・・・。
この味を試すべく、知人の海鮮料理屋に採れたての真妻山葵を持ち込み、無理を言って刺身に付け合せてもらいました。
まず、一口、そのまま箸でつまみとって口に運んだ。
「甘い!まるで砂糖を混ぜたかと思わせるほど甘い!」
そして刺身と共に食べると、淡泊な魚介類の旨味に自然となじみあい、そしてツンとした辛味が醤油の味をひきたて、鼻腔を覆うのです。これは頭部すべてで味わう美味さ。
静岡で真妻山葵を生産している農家の方が「やはり和歌山産のほうが美味い」と舌を巻いたらしいですが、きっと正しくは舌をとろけさせたのでしょう。
直で取引すれば、1Kg7,000円。この味は決して高くありません。

お取り寄せ情報
〒644-0201 和歌山県日高郡印南町川又550-2
Tel,Fax 0738-46-0038

ちなみに、みなさんが生山葵をすり卸すとき、根の下の方から卸しますか?それとも茎が出ている上の方からでしょうか?私達が修行中の時、「下から」ということが常識と教えられました。正しくは「どちらでも良い」とのこと。
下から卸せば、辛味が立ち引き締まった味が楽しめ、上からであれば根となって間が無いため瑞々しい山葵味となり、食べる料理や付け合せる素材に合わせることが重要だと教えてくれました。

本物を知る人の言葉には真実がありました。
ぜんまいの煮つけ
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