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勉強になる「今月の一軒」  vol. 05
ANA FESTA 60番ゲートフードショップ一空のおにぎり

飛行機という乗りものは不思議な雰囲気を持つ。新幹線は待ってくれないが、飛行機は待ってくれる。乗り口は正面左側と決まっているし、席が狭くても文句を言う人が少ない。 面白い乗り物だ。入口が左というのは船と同じらしいから更に面白い。 鉄道はゆっくり車窓から広がる景色を眺めつつ、折詰になった駅弁を食べることが楽しみの一つである。これに対抗して空港では「空弁」を販売するようになった。LCCの就航により、それらの種類も豊富になってきている。これもまた楽しい。 最近では、飛行機の出発時間までの待ち時間をあの手この手で商売としてつなげようと、工夫が著しく、中でもスナック類の充実には目を見張るものがある。 「いったん貯め始めたマイルを積み上げることに喜びを感じるのは中小企業のオヤジ社長だ」と、良品計画食品部で辣腕をふるう伊藤さんは言うが、私は正にそのど真ん中。しかしながら一旦食いついたら離れられないような仕組みを考える航空会社の罠にはまったままで心地よく過ごしていて、空港の中にある小さくて大きな美味しさをいつも探している。

羽田空港第二ビル60番ゲートの近くに小さなスナックコーナー「一空」がある。うどん、そば、それからおにぎりを売っている。こんな仕事をしていることで自慢できるのは、商品をみただけで美味しいかどうかが分かることだ。ここは幅90㎝ほどのショーケースに、ラップフィルムで囲うようにおにぎりを何種類か陳列していて、どのラップフィルムにも細かい水滴が内側に見える。それもイキイキとした水滴だ。間違いなく温かいご飯から摺り出た湯気が結露したものにちがいない。「きっと温かいおにぎりなんだ」と思い、ためしに昆布と鰹を買って待合シートで頬張った。ほのかな温かみが昆布や鰹、そして塩味と混ざり合い、強すぎない力で押されたご飯は口でさっとほぐれる。 私はおにぎりを握る力は2キロだと断言しているが、正にここはそれくらいの力でおにぎりを完成させていた。

冷凍のうどん、冷凍のそば。これらは今や生のものとは違う進化を遂げつつあり、これはこれらの美味しさが明確にある。そこに丹精にしてさっと作られたおにぎりが何ともよく似合い、疲れた体をお腹の中からマッサージしてくれるような満足感を提供してくれる。こんなさりげない達成感を、だれが指導したのだろうか・・・。 馳走とは、素材集めの旅で駆け抜ける人に、美味しさの知恵を気づかせることも含まれていたのだ。

店舗データ

ANA FESTA 60番ゲートフードショップ 一空
住所:東京都大田区羽田空港3-4-2 東京国際空港第二旅客ターミナルビル 2F
TEL.03-6428-4910

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